７月にアフリカのケニア、マラウィとザンビアを旅行した。ケニアは東アフリカにあり、マラウィとザンビアは中央
アフリカ及び南アフリカに位置するが、便宜上ここでは東アフリカと総称する。

７月２日朝、梅雨がまだ明けない雨模様の中、家から上海の空港へ地下鉄で向かう。途中リニアモーターカー
に乗り換える。リニアモーターカーは時速400キロを超える速さで、あっという間に空港に到着する。

上海からケニアの首都ナイロビまでケニア航空を利用した。航空券はケニア航空のホームページから購入した。
上海からナイロビまでは、途中タイのバンコクで乗り換える。

フライト番号が通しでケニア航空のものになっていたので、上海からずっとケニア航空の飛行機を使うのかと思
っていたが、バンコクまで上海航空の飛行機であった。しかも搭乗手続きのところで、上海航空の係員が私の
名前を見つけることができず、電話で問い合わせたりして、やっと確認できたのであった。

世界の航空会社はそれぞれ他の航空会社と提携することによって、ひとつの航空会社で最終目的地まで航空
券を手配できるようになっているようだ。預かり荷物も途中で出し入れする必要もなくなる。航空会社のコンピュ
ータ・システムも他航空会社との提携をふまえて構築されているはずなのだが、係員は慣れてなかったようで、
荷物がナイロビまでスルーで届くかどうかバンコクで確認するように言われたのであった。

ケニアは今回２回目の旅行であった。40年近く前、マラウィで２年半協力隊に参加して滞在したことがあり、その
時ケニアに旅行したのであった。しかしずいぶん昔のことなので、記憶していたこととだいぶ違いがあるのは覚
悟しておかなければならないと思った。

中国のネットではケニア航空がサービスが悪く機内も汚なく、「クズの中のクズ」という悪評を見かけたが、実際乗
ってみると機体は比較的新しくサービスもそれほど悪くなく、運賃が安いのをかんがみると、たいして悪くもない
航空会社だと思った。

ナイロビ空港に翌日早朝に着き、空港でビザ取得のため50ドル払い、無事に荷物を受け取り、リムジンタクシ
ーに乗り、ホテルに向かった。旅行のとき私はほとんどバスや地下鉄などの公共機関を利用し、タクシーはあ
まり利用しない。しかしナイロビは世界の中で治安が最も悪い都市のひとつだといわれているので、「地球の歩
き方」でもアドバイスしているようにナイロビ市内の移動はすべてタクシーを利用した。危険はお金を払ってまで
避ける必要があるのは当然である。

今年5月にはナイロビやモンバサでイスラム過激主義による爆弾テロ事件が起きていた。また昨年９月ナイロビ
の高級ショッピングモールで起きたイスラム過激主義による襲撃事件では、61名の民間人と６名の兵士が亡く
なった。ケニア政府がイスラム過激主義への圧力及び排除をしているのに反発して起こした事件であった。

ナイロビ自体は何の特徴もない近代的な街並みをしており、特に歩いて見物しようとも思わなかった。ナイロビ
は約1700メートルの標高にあり、赤道の近くに位置しているにもかかわらず、気候は涼しい。

ケニアは輸入品以外は物価の安い国であるが、ナイロビのホテルが割高なのは驚いた。1日目に宿泊したホテ
ルは4,000円を超える料金であったが、上海でも半分ぐらいの料金で泊れる部屋のレベルのホテルであった。
しかしホテルの立地は良く、治安も比較的よい地区にあった。

昼の食事をするため、ホテルの近くを歩いた。テロを恐れてか観光客はほとんど見当たらず、巨漢のケニア人
たちが歩いている光景に圧倒されちょっと引いてしまった。途中薬屋を見つけたので、マラリアの予防病薬を
買った。またスーパーに行きミネラルウオーターとヨーグルトを買った。 レストランは2階にあるベランダのような
造りのところで食事をした。２階なら安心して食事できると思ったからである。　

翌日から4泊５日のサファリツアーに参加した。ケニアは現在乾季なので、サファリには絶好の時期である。

早朝７時にホテルをチェックアウトし、ツアーの迎えを待った。あらかじめネットで評判のいい旅行会社を調べ、
前金500ドルを中国の銀行から送金して、申し込んであった。ケニアには日本人経営の旅行会社もあるが、日
本語が通じきめこまかいサービスを受けられるかわりに料金が割高になってしまうので、今回の旅行会社にし
たのであった。それでも一泊２、３万円ほどのホテルに宿泊するハイクラスなツアーであった。安いツアーには
トラブルがつきものだと事前に了解していたからである。

運転手兼ガイドはジョージという名前のケニア人で、英語は流暢にしゃべるので問題なかった。運転は驚くほ
ど慎重で安心して車に乗っておれた。車はトヨタで、ジョージはこれは頑丈でトラブルのない車だと言っていた。

ケニアは1963年にイギリスから独立し、初代大統領はジョモ・ケニヤッタ大統領で、ケニアの街にある大きな道
路は彼の名前が冠せられている。ナイロビの空港もジョモ・ケニヤッタ国際空港と呼ばれている。

私がジョージにケニア人はマラソンで日本でも有名であるというと、「東アフリカはマラソン、西アフリカはサッカ
ーが得意だ。」といった。ちょうどこの時、ブラジルでサッカーのワールドカップが行われていたところであった。
アフリカからの出場国は北アフリカのアルジェリア以外は、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーン
と全て西アフリカの国々であった。

ジョージはアフリカで唯一の高速道路をケニアで建築中だと誇らしげに説明した。それは中国の援助によるも
のであった。バイパスなどケニアのあちこちの道路も中国の援助によるもので、中国はケニアの友好国だとほ
めたえたのであった。

（写真左はナイロビ空港でのケニア航空の飛行機、中は夜のナイロビ市内、右は運転手兼ガイドのジョージと
のスナップ）

最初のサファリの場所であるアンボセリ国立公園まではナイロビから約250キロで、４．５時間かかる。アンボセ
リは南にあるタンザニアとの国境近くにあり、そこから見えるキリマンジャロはアフリカで最も高い山で、標高５８
９５ｍある。アンボセリはヘミングウェイが滞在し、「キリマンジャロの雪」を執筆したところでも有名である。

ナイロビを出てから1時間もたたないにうちに、キリンを１頭見つけた。途中、道が封鎖され、機関銃を持った
警察が検問していた。しばらく行ったところで、ジョージが柵で囲った広い草原を指さして、将来アメリカのシリ
コンバレーのような施設をつくる場所だと説明したが、どう考えても10年以上はかかるプロジェクトだと思った。

アンボセリまでの道路は途中まで東アフリカ第一のモンバサ港からの道路を通るため、たくさんの積荷をのせ
たトラックが走っていた。

モンバサ道路から道が分かれ更に走ると、検問があった。このあたりはタンザニアの国境に近いため、　違法
入国者はいないか身分証明書をチェックしているのだ。

朝早く出発したため、アンボセリ到着が予定より早くなったので、近くのマサイ族の集落を見物した。1人30ドル
の入場料が必要であった。

マサイ族の人々が歌いながらダンスを披露したり、マサイ族の家を案内したりしてくれた。またマサイ族の医者
（？）による薬の使い方の説明もあった。漢方薬のようにお湯で煎じて飲むものもあれば、煙を出してその煙を
吸って頭痛を治したりする薬もあった。それから棒を回してその摩擦を利用して火をおこすやり方も見せてくれ
た。

最後に集落の近くにある小学校を訪れた。子供たちが振付けをしながら歓迎の歌をうたってくれた。そして案
内のマサイ族から学校へ寄付を求められたので、10ドル手渡したのであった。

（左端から中右までは私がマサイ族と一緒にダンスを楽しんでいる写真、右端では私がマサイ族とジャンプを
競おうとしたが、タイミングがうまく合わなかった様子の写真）

（写真左端は薬を紹介するマサイ族の医者、中左から右端までは火の起こし方を紹介しているところ）

（写真左端は集落の入り口、集落の周りはとげのある木の枝を置き、動物が近づかないようにしてある、中左と
中右はマサイ族の家、右端は小学校の子どもたちが歓迎の歌をうたっているところ）